地方議会を再生する
相川俊英
今回紹介する書籍は「地方議会を再生する」という本です。大分市議会の議会図書の推薦本です。
本書の舞台は長野県飯綱町。町内の第3セクターのスキー場が大赤字。町は財政破綻寸前になり、「住民参加」「首長に妥協しない議会」を旗印にした議会改革に着手しました。その成果が認められ、全国の自治体から視察団が殺到する「日本一有名な町議会」となったようです。本書は、この町の「政治再生のプロセス」を描きます。「地域再生」への挑戦を綴ったドキュメントです。
主人公は寺島渉さん。元共産党の議員です。長野県委員会の地区委員長もされていたようですが、何があったのか詳しくは語られていませんが、ケンカして離党したようです(笑)。
そこかしこに“元共産党員らしさ”がみられます。
寺島さんがなによりも重視したのは、学習と自由討議だった。(中略)「人は学ぶことを通して物事への認識が変わり、成長していく」「自由な意見交換が活発になされ、それを積み重ねていくことで認識や理解が深まる」という認識である。
さらにもう一点、議会改革の取り組みをすすめるうえで寺島さんが大原則としていたことがあった。議会改革における取り決めは多数決で決めるのではなく、全会一致を原則とした。
共産党の会議のようです(笑)。
本書の後半には議員に求められる資質の記述があります。
・少子高齢化と財政難の進行によって、(中略)地域の課題は地域自らの力で解決していかねばならない。つまり、自治力が問われる時代となった。
・住民の声に耳を傾けて地域の課題を的確に捉え、その解決策を議会の一員として提示できる人材が今、求められている。
上記の役割を発揮するために求められる資質を四つ挙げています。
①使命感 ②コミュニケーション能力 ③まっとうな生活感覚と旺盛な知的好奇心
④一緒にいて楽しくなるような人
当たり前のことのようですが、これがなかなか難しい。日々勉強、鍛練です。