恥をかかないスピーチ力

「恥をかかないスピーチ力」
 斎藤 孝著

テレビのコメンテーターでも有名な斎藤孝さんの著書です。
市議会議員をやっていると人前で話すことが多いのですが、この本はゴールを「恥をかかない」という部分に設定して、解説をされます。それは言いたいことをスパッと言って、着地の決めフレーズを締めるというもの。これさえできていれば少なくとも「恥をかかない」としています。

  • アメリカの政治家であり学者でもあったベンジャミン・フランクリンは自伝の中で、“time is money”(時は金なり)と言っています。(略)自分がスピーチしている間は、人の時間を使っているのだという自覚が必要です。
  • スピーチの内容以前の問題として、まずは時間感覚を持ち、他人の時間を奪わない配慮が大切
  • スピーチは体操競技に似ていて、着地が重要です
  • スピーチもスタートより終わりの方が印象を決定づけます。
  • 話の着地点はフレーズで用意しておけば間違いありません。「本日はまことにおめでとうございます」「ご清聴、ありがとうございました」というベタなものでもいいのです。

 日本人は人前でしゃべる文化(ディベート)の文化がない分、話下手な人が多いように思います。時間感覚をもってしゃべることの重要性は胸に落ちました。
本の中盤にはシーン別のスピーチの仕方についての解説があります。その中で一番興味深く読んだシーンが【PTA保護者の集まり】の部分です。

  • PTAや保護者会では、保護者を代表して挨拶したり、先生にお礼を言わなければならない場合があります。みんながぐずぐずしてだまりこんでしまうようなら、勇気をもって出た方がよいでしょう。
  • 先生に対しては必ずお礼の言葉を言うこと
  • 先生の良かったところを具体的に言います。
  • ポイントをあげて具体的に先生をほめる人は少ないのです。たいていは何となく「ありがとうございました」と繰り返すばかりで、中身がないのです。
  • 先生にお礼を言うのなら、はやり具体的にほめるべきです。
  • 保護者を代表して挨拶をする場合、ネガティブなことはいっさい言うべきではありません。
  • 9割がたネガティブなことしか思いつかない先生でも、一割のポジティブな部分を拡大してほめて、明るく分かれるのが大人の人間関係

スピーチといっても、1対1のコミュニケーションの延長ということが理解できました。
その他にも【来賓に招待された時の挨拶】や【組織を代表する時の挨拶】など、実践的な内容が多くちりばめられた本でした。